素材・表現説明

(工学ガラス説明)

素材について

SENTEは、シリカ(SiO₂)を核とした素材表現を行うブランドです。
シリカは、水晶やガラス、オパールの主成分であり、地球上に最も広く存在する素材のひとつです。

SENTEでは、このシリカ素材を大きく二つの領域として捉えています。
• 水晶 SUISHO(シリカ結晶)
• 水精 SUISEI(シリカ結晶およびシリカ非結晶を含む)

水精 SUISEIは、水の彫刻師がAQUA jewelryのために開発している、SENTE独自の素材名です。
その中には、ガラスとしての状態だけでなく、ガラスとは異なる状態を含むものも存在します。

SUISEIは、単なる素材名ではありません。
それは「シリカとどう向き合い、どのように留めるか」という、制作姿勢そのものを表す言葉です。

水精 SUISEIの素材分類

SUISEIは、原料や来歴の違いにより、次の三つに分類されます。

SUISEI 晶
水晶を主原料とするSUISEI素材。
色味は、透明・白・黒のみです。

SUISEI
水晶を主原料に調整を施した、標準的なSUISEI素材。
色物は、水晶と珪砂の両方を含みます。

SUISEI 環
再生ガラスなどを用い、循環・再生をテーマとしたSUISEI素材です。

光学ガラスから 水精 SUISEIへ

2011年から2026年までの約14年間、
SENTE、そして水の彫刻師である TAKAYUKI OTA は、
水晶を原料とした理化学用の光学ガラスを用いて、AQUA jewelryを制作してきました。

シリカの声に耳を澄ましながら制作と表現を重ね、多様な期待に応えていく中で、
光学ガラスを含む既存の素材カテゴリーだけでは、
表現しきれない領域があることに、次第に気づいていきます。

その過程で、日本のものづくり精神に学びながら、
素材を単なる「物質」として扱うのではなく、
自然とどう向き合うか、水そのものをどう彫刻するか、
という視点へと制作姿勢は変化していきました。

その思想と姿勢を、ひとつの言葉として表した素材名が、水精 SUISEIです。

表現について

水態(すいたい)

水が同じ水でありながら、
留まり・響き・流れとして姿を変える。
その振る舞いの違いを捉える言葉が、水態です。

水精 SUISEIという素材と制作姿勢が、
制作の中でどのように振る舞うか。
その運動のあり方を示す概念でもあります。

人の表現もまた水のように、
留まることも、揺らぐことも、
流れへ向かうこともあります。

書体 × 水態

楷書 = 静水
形は明確で、線は止まり、秩序が保たれている。
意味は揺らがず、読むことが最優先される。
力は内に湛えられ、作為に最も近い文字の態。

行書 = 水紋
楷書に流れが生まれ、線が応答を始める。
整いと崩れのあわいにあり、
書き手と受け手の気配が交わる文字の態。

草書 = 水流
形はほどけ、線は流れそのものになる。
留まらず、定まらず、
意味よりも運動が先に立つ。
作為の輪郭が溶け、流れとして現れる文字の態。

相景(そうけい)

相景とは、AQUA ジュエリーやオブジェに現れる、
水面のような表情の在り方を示す言葉です。

水態として現れた振る舞いが、
最終的に作品の表面に結んだ姿。
それが相景です。

相景の三相

和景(わけい)
穏やかに、やさしく、世界を受け取る相景。
張り合わず、抗わず、余白をひらく。
受容・調和・静かなひかり。

烈景(れっけい)
激しく、荒々しく、世界に向かう相景。
砕け、跳ね、意志をあらわにする。
衝動・突破・生の力。

揺景(ようけい)
静と烈が同時に息づく相景。
凪と荒れが、ひとつの面に共存する。
あわい・人間・移ろい。

AQUA jewelry の内包原則

何も入っていない状態が、
AQUA jewelry の基準点。
それはデフォルトではなく、ゼロ点であり、正統。

水に入るものは、世界そのもの。
だから列挙はせず、3つの系統として捉える。

シリーズについて

① 鉱物系|MINERAL
オパール、ルビー。
水 × 地球時間の結晶。

② 金属系|METAL
金、錫。
文明と人為の象徴。

③ 生命・記憶系|TRACE
鹿の角、木、珊瑚、隕石。
素材ではなく、記憶と循環の痕跡。
※大切な人や動物の遺骨・遺灰は YOSUI ブランドで扱う。

内包物ラボグロウンオパールについて

ラボグロウンオパールは、養殖真珠と同じ立ち位置にある宝石です。
偽物ではなく、天然オパールの生成原理を人が理解し、整え、
研究室で育てられたオパール。

ガラスや樹脂の模造品ではなく、
宝石学上は合成オパールに分類されます。

安定した品質と美しい遊色、割れにくさ。
さらに環境負荷を抑えられるという特性は、
欠点ではなく、時代が求めた価値です。

ラボグロウンオパールとは、
自然を代替する石ではなく、
自然の理を学んで生まれた石。
これからの時代における「本物」の在り方を示す、新しい宝石のかたちです。

1950年代、フランスの宝石研究者
Pierre Gilson によって開発されました。

AQUA OPAL|4つの流れ

AQUA OPALは、水のように姿を変える宝石。
その変化を、四つの流れとして捉えました。

整い、揺らぎ、砕け、溶ける。
宝石はやがて、現象へとほどけていきます。

1|SENTE OPAL
(カボション & スフィア)
対称に整えられた、完成形。
光を宿し、水が器に収まった姿。

2|BAROQUE
(タンブル)
整えながら委ねる、不整形の完成。
作為と無作為のあわいに生まれる、水のゆらぎ。

3|PIRI
(チップ)
砕けて粒となった、素材の核。
破片であり、始まりの火花。

4|MILKY WAY
(クラッシュ)
形は消え、光が拡散する。
宝石が溶け、現象へとほどけていく群れの姿。